DOWN

2007-01-21

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2 : Diary Date : 2006-01-18

塩谷シュガー Sugar Shiotani

 退屈で仕方がない。実家に居てもなーんにもやることないんだもの。まあ、確かにやろうと思ったら、部屋にこもって、誰も来ないことを確認してからすることもできるけどな! で、確認してことに及ぼうとすると、そういう時に限って人がくるのな。うはは。気まずさ全開だぜ。

 まあ、そんな感じで退屈で仕方がないわけで、気を紛らわすために、みいちゃんにメールすることにした。普段は仕事に関することしか送ってはだめなのだが(いろいろあって、そういうことになった)、気にしない! おれは携帯をカチカチ。

「みいちゃんみいちゃん、ぬめぬめ、って言葉エロイよね」

 送信。しばらく待つ。ぴぴぴぴぴ。

「帰ってきたらギタギタにする。ったく、忙しいんだから変なメールはやめてよね」

 ひいい。ギタギタ。すごい響き。

「忙しい? 何かあるのかしらん」

 送信。ぴぴぴぴぴ。

「明後日試験。だから忙しいの。じゃ!」

:)

 これは返信しないほうがいいな。うん。メールをやめるタイミングってほんと難しい。きっとこれがジャストタイミング(じゃないと命がない。おそらく)。

 明後日試験……か。たぶんメイド試験のことだろう。4年に1度のメイド試験。どんなことをしているのか、俺にはさっぱりだけれど……そういえば、以前、どうも身体測定もしてると聞いた気がする。ということは、あれか。身長とか、体重とか、胸のサイズとか、いろんな所をチェックされるってことなのか! あああああ、すごい。おれ、医者になる。ならないけど。

 考え出したら、なんだかいろんなところが元気になってくるおれ。そして退屈な気持ちはどっかに行ってしまっていた。気になるきになる。

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お屋敷で働くメイド「山田相子」が、自分のサイトや自分のお気に入りサイトからRSSを取得し、最新記事順に並び替えて更新しています。

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1 : Diary Date : 2006-01-19

山田相子 Aiko Yamada / Watakushi

 明日はメイド試験の日っ。試験会場までバスに乗るので、なんだか想像するだけでわくわくしてきますー。押しボタンが先に押されちゃうと、なぜか悔しくなってしまうのは、内緒ないしょ。

 試験はとっても怖いのですけれど、私がんばりますっ。

2007-01-05

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1 : Diary Date : 2007-01-05

柏木 Kasiwagi

 僕があなたに出会ったのは、とても寒い日でしたね。太陽は雲に隠れてまったく見えなくて(まだ太陽なんてあるんでしょうか)、雪も降っていました(いつも降っていますけど)。

:)

 釣りをしている僕に、あなたが話しかけて来た時、僕は本当に驚きました。「何か釣れますか?」

 僕は女の子から話しかけられたのはとても久しぶりでした。人に出会ったのも、数年ぶりでした。竿を揚げて釣り針のついてない釣り糸をプラプラさせて返事をしました。「何も」

 とてもかわいいあなたを前にして、かっこいい言い回しも、何も思い浮かばなくて、僕はつまらない返事をしたことを覚えています。今でも夢に出ては、後悔します。今日もそれで目を覚ましたのです。あのときもう少しうまく喋ることができていたらって。たぶん、あのときは釣り針をつけてないことがかっこいい、と思ったのかもしれませんが。思い出しても、すごく恥ずかしくなります。

:)

 あなたはくすくすと笑って僕を、面白い人、と言ってくれましたね。僕はとてもうれしかった。「どこから来たの?」

「あたしね、オオサカから来たの」

「ひとりで?」

「ええ。ひとりで。車で。えと、あたし、オオサカ代表」

「なるほど。僕はオカヤマ代表です。もちろん一人です」

「おんなじだね」

「うん。おんなじですね」

:)

 僕はあなたに会うまで、アイツが言っていたことを信じていませんでした。僕ら以外のみんなが消えたってコト。聞こえたアイツの言葉を。

「都道府県、一人ずつ。君達は選ばれたの。ハコブネに乗りたい人は乗っていいよ。みんなハコブネに乗れるよ。乗りたくなかったら乗らなくていいよ」

:)

「どうして選ばれたのかな。あたしたち」

「わからないです」

「どうしてあなたはハコブネに乗らなかったの?」

 空を指さしてはっきりと僕は言う。

「アイツが嫌いだから」

「あはは。あたしも。なんだか気が合いそうだね。あたしたち」

:)

 どうやら世界はまた造り替えられるようです。アイツは本当に自分勝手だと僕は思います。腹が立ちます。僕の大切な人たちを勝手に消したのですから。

 でもアイツのおかげで、僕はあなたに出会うことができました。その点だけは、アイツに感謝していて、何とも言えない気持ちになるのです。

:)

 僕の隣で、すやすや眠る、あなた。これからどうなるか、わからないですけれど、僕は何があっても、あなたを守ります。

 ずっとずっと。

2007-01-04

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1 : Diary Date : 2007-01-04

青山さん Aoyama

 僕の彼女になった青山さんと、僕は喧嘩をした。

:)

 カップラーメンを食べるのを3分待てるか、待てないか。そんなどうでもいいことが喧嘩の原因だった。

「どうして3分が待てないの?」

 青山さんは僕が食べようとするのを見て、そう言った。僕らは二人、コタツの中。目の前のテレビではキューピー3分クッキングが終わろうとしている。

「うーん。硬めが好きだから、かなあ」

 僕はペリペリとふたを開けて、割りばしをぱかり。

「3分が一番おいしくなるって、カップラーメンを作った人達は思って、作ったはずだよ。硬めが好きだからって、やっぱり早めに食べちゃだめだと思う」

 とても不機嫌そうになる青山さんに、僕はまずいなあ、と感じながらも、手を止めることができなくて、ラーメンをぱくぱく。じゅるり。

「そうかなあ。うーん。わからないことはないけど、うーん」

「うー。悩みつつ先に食べてるのって、卑怯」

 テレビでキューピー3分クッキングが終わると同時に青山さんもラーメンを食べ始める。彼女は卑怯と言ったきり、何も喋らなくなって。彼女は食べ終わってから、帰るまで終始無言。

:)

 僕はまずいと思って、彼女に電話をした。さすがに鈍感な僕でも、怒っているとわかったのだ。彼女は言う。

「別に怒ってない。単に我慢できないあなたに少しイラっとしただけ」

「ご、ごめんなさい」

「3日くらい、電話しないで」

 がちゃりと電話が切られて、僕はしょんぼり。しかもどうして怒らしたのか、まったく理解できなくて、いいじゃないですか、ちょっとくらい早めに食べても。硬めおいしいよ、硬め。

 そんな風に思っていたら、僕は何となく彼女が怒っている理由が見えてきた。僕だけ先に食べたのがまずかったのではないか、って。

 あああ、いけないことをしてしまった。たぶん女の子にはすごく失礼じゃないか。あああ。よくわからないけど、きっと原因はこれだ。あああ。まったく無関係かもしれないけれど、もしかしたら関係してるかもしれない。これからはラーメンは3分確実に待とう。僕は待ちます。

:)

 なのに僕は3日経たずに電話をした。彼女は言う。

「まだ3日経ってないよ?」

「ごめん。僕はいろいろと間違ってました。3分待ちます。ルールは基本的に守ります」

「でも3日は守れてない」

「ごめんなさい。でもおかしくないです。僕は青山さんが好きで、3日なんて、待てないのです。これは完全な僕のわがままです。ごめんなさい。ラーメンは今度から待ちます。でも僕はあなたがいないとだめなのです。待てません。3日もあなたの声が聞けないのは辛くて、それにあなたは硬めのラーメンなんかより、遙かにはるかに大事なのです。あたり前のことですけど」

「ばか」

 僕自身、電話で変なことを言っているとわかってて、意味不明に近いような気がしてるし、とても恥ずかしい。でも待ちきれなくて。電話は苦手で。青山さんがどんな表情をしているのかすら、わからなくて、すごく怖い。電話の間が怖い。

「……今からアパートに、行くから」

「え、あ、う」

「どうせカップラーメンばかり食べてたんでしょ。んーと、今日は私が何か作ってあげる。ちゃんと待ってなさいよ。ばか」

 はい、ちゃんと待ちますまちます。大好きです青山さん。

2007-01-03

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1 : Diary Date : 2007-01-03

青山さん Aoyama

 僕に彼女はいない。

 ずっとずっと、生きてきてから彼女はいないのに、そのことはなぜか僕を悩ませる。

 世間では「彼女いない歴=年齢」の場合、社会不適合者なんだっていうんだ。もしかすると、僕はそのことを知ってるせいで、悩んでいるのかな。おかしい。おかしいよ。だって、そういうこと抜きにしたって、僕はもうすでに社会不適合者なんだから(人生の落伍者とも言える)。

 近所に住む青山さんはなぜかよく僕のうちにやってくる高校生の女の子です。なのに見た目は純度ヒャクパーの少女。高校生だから、当然、考え方は大人で、見た目とのギャップのせいで、いつも僕は彼女と会話する時、戸惑います。ぐらぐら。

「別に一生童貞でもいいんじゃない? そういう人って、あなた以外にもたくさんいるよ」

「そ、それはそうだけど。って、突然童貞ってどういうことですか」

「じゃあ、風俗とかに行けばいいんじゃないかしら。大人は奥さんとか、彼女とかいるのに行ったりするくらいだし。彼女がいないあなたなら、たぶん問題なしよ」

「そういう問題じゃない」

 僕と彼女は一緒にコタツに入って、あむあむとみかんを食べつつお喋りしてるのです。

「どういう問題なのよ。彼女がほしいって、あなたは言ってたよね。それは最終的にセックスをすることに他ならないじゃない。そう考えたら、あなたの目的は童貞を捨てることでしょう」

「いや、違う」

「何が違うのか私にはわからないです」

 彼女はほっぺにみかんを入れて、ぷっと怒ったような表情を僕に向ける。いつもの冷静な表情が変わるときの彼女の表情はとても素敵だ。怒ったときも、いや、滅多に見れない照れて顔を真っ赤にしているときも。茶髪のポニーテールもくるりとはねる。

「考えが飛躍しすぎだと僕は思うな。確かに僕は彼女がほしい。だからと言って、それはセックスがしたいからほしいわけじゃない」

「じゃあ、何のために彼女がいるの?」

「寂しいのです。よくわからないけど寂しいのです」

「寂しいから? 寂しかったら彼女がいるの?」

 じっと僕の目を見つめる彼女の瞳はずっとずっとピュアで、僕は耐え切れなくなって、目をそらす。すべてが見透かされたみたいになるのが、嫌なのです。僕が君の事を好きだってことを気づかれたくないのです。気づいてほしいけど、気づかれたくないのです。

「違う。そういうわけじゃない。いい? これは僕の経験から導き出された結論なんだ。僕には多少の信じられる友達がいて、それなりの生活をしていて、それなりの毎日を過ごしている。なのに、僕は満たされた気が今の今までしたことがないんだ。なんだか胸の真ん中が寂しいのです。でね、どうしてなんだろうって考えたんだ。そしたらね、今まで彼女がいたことがないっていう事実に気づいたの」

「消去法、ね」

「そう。原因はそれじゃないか、って。だから僕は彼女がほしい」

「彼女が出来たら、どうするの? できるだけでいいの?」

「もちろん彼女ができたら、一緒に映画を見たり、買い物をしたり、ドライブしたり。彼女の望むことをかなえていきたい。それで彼女のしあわせが僕のしあわせになるのです」

「キスしたり、セックスもしたりするんでしょう」

「たぶん」

 彼女は暑くなったのだろう。コタツの中から足を出して、ミニスカートがちらり。学校帰りに今日は直接やってきた彼女。寒かったろうなあ、と僕は思う。

「それで、寂しさがどうにもならなかったら、どうするの?」

「わからない。その時になってから考えようと思ってる。でも、僕は社会不適合者だから、まだ気づいていない欠陥があるとは思ってる。人とうまく話すことができないし、女の子と話すときはいつもドキドキする。もちろん青山さんと話していてもです。そういうところも、欠陥だろうし」

「ふーん……」

「青山さんは僕が普通の人だと思います?」

「ううん。そういうの聞く人は普通の人じゃないと思う」

「ね。そういうこと」

 彼女はなぜか納得がいかないみたいで、ずっと僕の顔を見ている。そしてなぜか顔を近づけてきて、僕にキスをする。突然のことに、僕はどうすることもできなくて。

「キスしてみた。寂しい?」

「ちょっと寂しくなくなった、かも」

「私、彼女になってもいい?」

 僕は「うん」と返事をした。

「だれだって、社会不適合者よ。あなたは、考えすぎなだけ。大丈夫、私が全部受け止めてあげるから」

 抱きしめられる僕。数十秒が過ぎて、離れるとそこには照れて顔を真っ赤にしている彼女がいた。

 そして、なんだか僕の中の寂しさが、ゆっくり、ゆっくりと無くなっていくのを感じた。

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