DOWN

2006-10-29

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1 : Diary Date : 2006-01-26

滝川 Takigawa

 ささやかなメロディと共にあたしは走る。長い下り坂をまっすぐ、まっすぐ、地面に引っ張られてるみたいに、走るはしる。

 今日は青い空。風は穏やかに吹いていて、早く走れば走るほど風のやさしさが伝わってくる気がする。今日はとてもいい日。

 ふと、ハンカチを忘れてしまったことを思い出して、どうしよう、とか思ったけど戻るのは面倒だからやめた。滅多に使わないんだし。うん。

「麻衣子! がんばって!」

「う、うんっ」

 同級生の横を通り過ぎていくたび、みんなが応援してくれる。その声はとても心地よくて、そのせいでなんだか背中に羽が生えちゃったんじゃないかってくらい、体が軽くなる。

 下り坂の次は横断歩道。うまいタイミングじゃないと、信号に引っかかってしまって、足止め。滅多にうまいタイミングにならないけど、今日はいい日。たぶん、きっとうまくいく。

 わん、つー、すりー。ナイスタイミングで青。信号待ちしてた同級生たち、サラリーマンたちをすり抜けてあたしは走る。

「麻衣子ー」

 横断歩道に引っかかってたらしい久津川先輩。なぜかあたしを後ろから追いかけてきた。やだ。なんだか恥ずかしい。

 距離を離したくないけど、離したくなってきて、でも離したくなくて。先輩との距離を一定に保つあたし。

「昨日っ……きのうは」

 遠くから先輩の声が聞こえる。大人っぽくて、カッコいい声。なんだか恥ずかしくて振り向けない。

「……はい」

 返事をしたけど、きっと聞こえてない。きっと。届かない相槌。いいの。いつものこと。

「ありがとな」

 急に耳元で声がして、びっくりして振り向いた。先輩の顔がすぐ近くにあって、うっかり口と口とが触れる形になって。接触事故。

 顔が熱くなるのを感じて、走るのをやめる事もできなくて、先輩のやさしげな笑顔をずっと見ることしかできなくて。先輩の黒髪が朝日にきらめいてた。

「いろいろあったけど、オレはお前が必要なんだって思った。オレ、いつもお前に助けられてた。気づいてなかった。知らなかった。ごめん。だから今度はオレがお前を助ける。オレにはお前が必要だ。好きだ。付き合ってくれ」

 突然の言葉にびっくりして、うれしくて、訳がわからなくなって、でも言わなきゃいけない言葉はわかってて。

「はい」

 今日はとてもとてもいい日。先輩とあたし。いつもより20分も早く学校についた。この時間にだけ聞くことの出来る、秘密のメロディ。それは学校が動き出す音は無い静かな、しんとした空気が奏でるメロディ。先輩と二人、呼吸を整えながら聞けるなんて、しあわせ。

 先輩がふとあたしの耳元でささやく。

「ハンカチは新しいの買って返すからな。ああいうことがあるって知らなかった」

「……先輩はいろんなことを知らないだけです。先輩、女の子だけの授業、サボってましたし」

「はは、サボりはよくないか。やっぱ。……これからいろいろ教えてくれよな」

「はい」

 あたしは笑顔で返事をした。

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2006-10-18

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1 : Diary Date : XXXX-XX-09

朝倉さん (9)

 たとえ不安定に見える事態も、安定していくものだ。すべてを飛び越えて、すべては次第に繋がっていく。

:)

「立ったままお話するのも何ですので、あそこのベンチに座りませんかー?」

 聞いたことのあるような、やわらかい甘い声に、ぼくはくらくらしながらも、警戒しなければ、と。距離をとりつつ彼女の後ろをついていく。彼女の長い黒髪がサラサラと揺れているのが、目に入ってくる。白いワンピースとのコントラストのせいかすごく神秘的な感じがした。

「も、もうっ。上田さんったら、そんなに警戒しないでくださいよう」

「いいい、いえいえ……」

 彼女はベンチに座り、ぼくも距離を取って座る。

「上田さーんっ。もっと近くに座ってくださいっ」

「……はは」

「上田さんから来ないならわたしのほうから行きます!」

「いいいい」

 これはよくある恋人たちの公園で密着してラブラブしてます的な感じじゃないかああああ、と警戒して距離を取れという考えよりも、これはいい、と思っている考えのほうが優先されて、結局ぼくは身動きができない。終始、やわらけえ、という感覚がリピートする。

 気づけば顔と顔との距離も30cmくらいで、これはもうだめだ、見れない。そう思って下を向いていると、わざわざ下から覗き込んでくる彼女に、うあああ、あああ、ああ。

「えと、緊張しないでくださいね。わたし、上田さんのこと大好きですから」

「はあああああ!?」

 意味がまったくわからないけれど、大好きって言われたことに、もう頭が完全にショート。深呼吸をしようとして、過呼吸に陥るぼく。

「だ、大丈夫ですか? 上田さんー」

 背中をさする彼女に、おれ、もう死んでもいい。そう思いつつ、落ち着いてきたぼくはゆっくりと尋ねる。

「つ……壷買わされたりするの?」

 彼女はキョトンとした表情を見せた後、にこっと笑った。

「いいえ。わたしの未来を買ってもらうのです」

2006-10-09

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1 : Diary Date : 2006-10-09

Project Watakushi News
news
にゅうす(だけ)
早食いの子供ほど肥満…東京歯科大など調査
ゆっくりゆっくり、ご飯を食べましょうー。ぱくぱく。
朝とかちょっとだけ早く食べちゃう時あるかも。ぐぐぐ。
どちらかと言えば、よく早食いしてるなあ。貧乏性なのかもしれん。うはは。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061006i512.htm
MYCOMジャーナル
理系のための恋愛論、2人で過ごしてくたびれちゃうワケ
二人っきりを想像したら、なんだかドキドキしてきちゃいましたー。あわわっ(てれってれっ)
んー。よく知らない人といるときは疲れちゃうな。なんとなくだけど。
あああ、そういうくたびれ方してみてえ!
http://journal.mycom.co.jp/column/rikei/225/
つかれた
あ、この酔い方はやばいと思った瞬間
あわわっ、お、お酒は飲んだことないですぅう(よ、よーめーしゅは飲んだことがありますけどっ)。
よくわかんなくなって、泣きそうになった時かな。うー、思い出したくない。
酒飲んだ後、さっき風邪薬飲んだのを思い出した途端、危なかったぜ。ふははは。
http://guideline.livedoor.biz/archives/50706450.html
Internet Journey
幸せな記憶ほど不正確!?――より長くはっきりと残るのは嫌な思い出
ううう、忘れたい嫌な思い出がちょっとだけありますぅ。ぐすん。
そう言われたら、確かにそうかも。
こういうところで、人間って悲しい生き物だなあとおれは思うのでありました。
http://www.japan-journals.co.uk/dailynews/061006/news061006_3.html
溢ニュース
「パンにつけると意外とおいしいものランキング」、1位は明太子
イチゴジャムさんが私のお気に入りですけど、今度めんたいこさんもチャレンジしてみますっ。ぐっ。
マヨネーズとシーチキンを乗せて焼いて食べるとおいしいよね。千切りのキャベツとたまねぎをもあればグー。
とにかくパンをくわえて、曲がり角でドーンだ! 無関係だけども。
http://www.narinari.com/Nd/2006106565.html?xml
pic
CG定点観測
拳銃チャイナさん絵(10/8)
ねそべりチャイナさんっ。なんだかかっこいいですー。
……チャイナ。
こう、おれのハートをドキュンって感じだな。うへへ。
http://www.geocities.jp/umetey/
メーラー
メールを送るときはいつも緊張してますぅ。あと切手を貼る時もっ。
……メーラー。
かわいいなーかわいいなー。
http://japonica.o0o0.jp/
セーラー服少女
セーラー服少女さんっ。いーだっ、ってしてるのかなあっ。
……セーラー服。
だッ、だめだ。笑顔がキュートすぎる。
http://www2.odn.ne.jp/azumiamane/
黒妖精さんラフ
黒妖精さんたちー。
……黒妖精。
下真ん中が特にいいなあ。どれもよいけれど。
http://midnightcafe.main.jp/
未来チック〜でもないか(10/7)
未来の服さんはやはりこういう感じになるのでしょうかー……(赤面しつつ)
……未来チック。
むぴっちり! むぴっちり!
http://www11.plala.or.jp/norahiguma/

2006-10-06

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1 : Diary Date : XXXX-XX-08

朝倉さん (8)

 仮にだけど、生きている間に使える、しあわせの量が決まっていたとしたら。あなたはどう使うの? 自分のために使う? それとも他人のために使う? あなたは、どうする?

:)

 あたしはパジャマのまま、アパートの外の自販機に飲み物を買いに行く。夕日が目にしみるから外でたくないー。うー。でも、ビールばかり飲んでいると上田みたいになるかもー、なんて思ったから。

 ウーロン茶を選んでぽちり。がたん、と変な音がして、なぜかミネラルウォーターが4本とウーロン茶が出てきてびっくりした。え、え、え!? ミネラルウォーターは売り切れになっていて、ということはこれ、え、なに!?

 少し考えた後、たぶんこれは酔っ払いに対する天の恵みだと思ってあたしは全部持って部屋に戻ることにした。5本もペットボトルを抱きしめて持ってるのって、なんか人に見られたら恥ずかしいなー、でもラッキー!

 部屋に帰って早速ミネラルウォーターを飲む。ぷはー、生き返るー。飲み干してゴミ箱にぽい。そのままベッドにごろっとしたら、背中に何かがごりっと当たった。「痛っ」

 手にとって見てみるとそれは携帯電話で、うー、このやろー。と思いながらも、痛さのほうが強くて、負けを認めることにした。寝る前に確認しなかった、あたしのミスだし。

 んー……あ、ありゃりゃ?

 携帯電話を眺めていて、ふと上田のことを思い出す。あれ? なんだか帰りが遅いぞ。昼には変な電話してきたし、何かあったのかな。うーん、グレたか? 家出だろうか。甘いなー。そんなことをしても、あたしから電話なんかしないぞ。携帯電話に電源入れるの怖いんだから。いーだ。上田めー。やつのことだから、あたしに心配をさせようと思ってるに違いない。そんな手に乗るかー。にひひ。なぜか笑ってしまう自分がおかしい。珍しく上田にしては、なかなかやるな、って思ったからかもしれない。

 でも、まだこっちから電話はしない。だってあたしは、心配なんかしてないんだから。まだ。

2006-10-03

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1 : Diary Date : XXXX-XX-07

朝倉さん (7)

 こうなればいいのにな。と、君は思う。でもそれが、不可能だと君はココロのどこかで知っていて、気づかないうちに、自分を縛っていく。身動きができなくなる。理想と現実で、現実から抜け出せない。

 そんなとき、運命は君にちょっとしたいたずらをする。

:)

 ぼくは学内に入り、いつもの場所に自転車を止める。携帯電話で時間を確認。まだまだ時間があるので、掲示板を見て、お知らせが出ていないかを確認しに向かうことにした。あたりにはだれもいない。

 掲示板のとこに行く途中、自販機で牛乳屋さんのコーヒーを買った。ホットなのでとても暖かい。片手でコーヒーを持って、もう一方の手をポッケに入れてぼくは歩く。もちろん、これがハードボイルドでカッコいいと思っているからだ。思い込みだと知っているけれど。ぐすん。

 ああ、こういう感じでぼくのココロをあっためてくれる人は現れるのかなー、現れないよなー、あー。なんて思いながらぼくはコーヒーに口をつけようとする。今日も何気ない一日が――

 その瞬間、突然目の前に女の子が出てきて驚いた。

「はにゃにゃー!」

 いきなりどこからともなく、コロコロコロと転がりながらコテっとこけて、典型的ドジっ娘的なポーズを華麗に決める少女。突然の状況に、ぼくはどうすることもできない。

 ふと、この少女を知っている――不思議とそんな気がしてぼくは混乱してくる。それはデジャブに似ていて……。ついコーヒー飲むのも忘れて、ぼーっと眺めてしまった。

 そんなぼくに彼女は気づいたみたいで、ぱっと立ち上がってぴょこりとぼくに駆け寄った。そして白いワンピースを着た少女は、ぼくににっこり笑って言う。

「そのおいしそうなコーヒー、すこし分けてくれませんか?」

「あ、あ……は、はい。どうぞ」

 コーヒーを手渡すと、こくこくと両手で飲み始める少女。そして飲み終わった後、ぼくを確認するように上目遣いで見ながら尋ねる。

「上田さん、ですよね?」

「は、はあ」

 ぼくの頭はなにがなんだかさっぱりで、誰なんだこの少女は。知らないぞ、おれ。こんなにかわいい女の子の知り合いなんていない。というかそもそも少女の知り合いなんていないぞ。どどど、どういうこと? うああ。なんて考えていて生返事。

 それを聞いて、少女はなんだかとてもうれしそうに、ぴょんぴょんと飛び跳ねながらぼくの手を握る。とてもやさしくやさしく。

「よかったー。上田さんにやっと会えたー」

「ははははは、はい?」

 やややや、やわらけえ。

 考えていたことを忘れて、ぼくはただただ、そう思うばかりだった。

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