2006-09-23
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1 : Diary Date : XXXX-XX-06
朝倉さん (6)
早起きは10セントの得だったかわからないけど、そういう感じで、いつもと違うことをするのはいいことだ。そんな時、いつもと違う運命のレールに迷い込む。行き先なんてわからないって、怖い? どうして?
わからないことって、なんだかすごく素敵じゃない?
:)
爆弾を触るみたいに、あたしは恐る恐る携帯の電源を入れる。ピロリロリーン。似合わない音と、いつものヒヨコちゃんの待ちうけ画面。すぐにメールを受信しているらしいマークが出てきて、やばいと思ってあたしは携帯を枕の下に敷いた。枕をかぶせて聞こえないフリ。
ピコピコ! ピコピコ! と受信したような音がかすかに聞こえて、やっぱり携帯の電源は切っとくべきだったと痛感した。しぶしぶ携帯を救出して、電源を切ろうすると、突然ピリリリリと電話が着信。ピ。「はい」
しまった。ついいつもの癖でと電話に出てしまった。相手が誰なのかわからないけれど、怖い。
「あっ、朝倉さん? ぼくです。上田です」
はあああ。上田なのか上田かよー。一気に気が抜ける。
「もー。上田のばか。すごく怖かったじゃん。電話するなら連絡してからにしてよね」
「そ、それは無理」
上田が半笑いしている感じが伝わる。
「で、どうした? 上田が電話してくるって珍しいじゃん。電話コワイ人間のくせに」
「相手の顔が見えないですしね。ええと、それはいいとして、えーと、なんか迷子になってしまって、助けてください」
意味がわからない。何気なく時計を見るとまだ昼の2時。大学で授業のハズなのに迷子とは何事か。冗談にしか思えない。もしかして、サボりかしら。からかってるのかな。
「なにそれ、おもしろくないよー。冗談ー?」
「いえ、マジなのです。ここがどこなのかわからないんです」
「近くの人に道を聞けばいいよ。上田ならなんとかなるよ?」
「それが、何にも無いんです。真っ白なんですここ」
まったく意味がわからない。いらいらしてくるあたしは
「もー。意味不明だよ。ちょっとあたしは忙しいから電話切るね」
「ちょ、ちょ――」
ぴ。
届いたメールを見ずに電源を切って、携帯を放り投げた。
まったく。変な上田。わかんない。
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2006-09-22
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1 : Diary Date : XXXX-XX-05
朝倉さん (5)
すべてが加速する。時間は思い通りには動いてくれない。焦ればあせるほど、物事はうまくいかない。時間も、事態も、加速する。
:)
朝ごはんを食べずに出たので、ピザが食べたいな、とぼくは思いつつ大学へと向かう。愛車のキャサリン(もちろん自転車である)にまたがり、壊れたギアチェンジスイッチをガチガチしながら走る。後輪のホネが何本か折れているので、走るたびにカタコンカタコンと音がする。すごくボロイがキャサリンだからいいのだ。
ぼくは走りながらあたりを見回す。もちろん朝早くから大学に行く人なんていない。いるのは犬の散歩をしている主婦や、なぜか走っているおじさんくらい。見ていると自分がなんだか居てはいけないところにいる気がして、不安な気持ちがココロに沸いてくる。それは昔、体育祭とかで、朝からジャージで行くべきなのかいつもの学校服で行くべきなのか、恐る恐るジャージで学校に行くときの気持ちに似ていて、ヘビーにスリルであった。
走っているおじさんの横を通り抜け、カーブを曲がる。朝の冷たい風が顔に当たり、シェービングクリームで洗った顔がひりひりする。向かい側から自転車に乗った女子高生がぼくの横を通り過ぎて、あああ、きっとキモイと思われた、とぼくは勝手に想像する。キモイに、キャハハがついているに違いない。もうこの時間帯には大学には行けない、お嫁に行けないと考える。しばらくぼくの中のポジティブな上田とネガティブな上田が戦って、多くの場合、ネガティブが勝つ。今日もネガティブが勝った。死にたい。死なないけれど。
いつもの横断歩道について、信号機は赤。ぼくは当然のように停止する。その横を女子高生が信号無視をして走り去っていく。信号無視をして横断している時間を短くするためだろうか(無視をしたという事実は消えないのに)、ギアチェンジの音が聞こえた。加速して消えていく彼女の後姿を見ながら、信号無視はよくないな、でも後姿はかわいい。と思った自分に、うんざりした。やれやれ。
信号が青に変わり、ぼくはペダルに足をかけた。
2006-09-21
1
1 : Diary Date : XXXX-XX-04
朝倉さん (4)
夢は嫌い。怖い夢を見たりするから。いつだって現実のほうがいい。
でも、いい夢の時もあるじゃないかって? 目が覚めたらその夢は消えてしまうってわかっているのに。それでもあなたは、夢が好きになれるの?
:)
ぱちり。のどの渇きで目を覚ましたあたし。クーラーの効いた部屋で寝ていたせいかな。やってらんないなあ。と思いながら上田の枕を抱きしめてベッドの上でごろごろする。ごろごろ。
しばらくすると目が完全に覚めたので近くにあったテレビのリモコンでテレビをつける。みのもんたが夏バテ解消法を言っているのを見て、あたしも夏バテかなー、ちゃんとごはん食べなきゃなー。そう思ってしゃきっと立ち上がって冷蔵庫を開けた。
少しくらいアイツが冷蔵庫に何か入れていると思っていたあたしがばかだった。冷蔵庫にはビールと牛乳しかなかった。チーズすらない。うんざりしながらも、のどが渇いているからビールを手にとって飲む。ごくごく。ぷはー。んー、おいし。
冷凍庫を開けると運よく冷凍ピザがあった。オーブンに入れて、ベッドに戻る。テレビのチャンネルを子供向けの番組に変えてみた。テレビ画面の中で、かわいくない変な犬と少女が楽しそうに笑っている。
それを見て、あたしにもこういう時があったんだよなーと、哀愁みたいな気持ちになった。今ではビールおいしとかいってるんだよなー。いつからこうなっちゃったんだろ。大人になるってやだな。ごくごく。乙女に戻れたらいいのにな。
そういえば昔はそれなりに恋する乙女だったのに、いつから恋とかわかんなくなっちゃったんだろ。夢見る少女でもあったのに、いつから夢を見なくなったのかな。大きくなったらお嫁さんになる予定だったのに。
チン。
オーブンからピザを出して、紙皿に乗せて一枚ピザをぱくり。上田にしてはなかなかおいしいピザを選んだものだと、いろんなことを考えながら、ぼんやりと思った。
2006-09-19
4
4 : Diary Date : XXXX-XX-03
朝倉さん (3)
人との繋がりが簡単にできるようになって、その分繋がりは脆くなったと、あたしは思う。
繋がりなんて少なくていい。たった一つだけの、とても強い繋がりがありさえすれば。
:)
気がつくとぼくは着替えていて、洗面台に立っていた。歯を磨いている。ごしごし。後ろのほうで「早くしないと大学に遅れちゃうよー? かわいい女の子がいなくなっちゃうー。いそげ、いそげー」との朝倉さんの声。ははは。朝倉さん。そんな女の子、もとからいないとわかっているくせに。とぼくは思う。
顔をシェービングクリームで洗い(最近洗顔もこれでできると知ったのだ。泡が細かくていちいち泡を作らなくてもいいので楽だ)、鼻毛を切って、唇にリップクリームを塗る。キスとかしないのに、なぜか唇が荒れるのはどうしてなんだ。ホルモンバランスのせいか? とか考えながら洗面所でて、すぐそこにいた朝倉さんの姿を見て驚いた。
「なぜにパジャマに着替えているのですか。しかもぼくのお気に入りのパジャマに」
「いいじゃん。誰かさんがパジャマ出してくれないから、あたしはスーツのまま寝るはめになったんだし」
「着替えているのと関係ないと思うのですが」
「ふっふっふ。今からあたしはこのベッドで寝るのだ。オケ? 納得した?」
「あんまり納得はできないですけど……」
「いいじゃない。どうせ君は大学に行くんだし。ね」
納得しないとコロスという感じで目が本気だったので、ぐっすり寝てくださいといい、ぼくは家をでた。
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3 : Diary Date : XXXX-XX-02
朝倉さん (2)
ぼくだってしあわせになりたい。自分がしあわせになるためには、人をしあわせにしてからだ。そう思って生きているけど、ココロが砕けちゃいそうだ。消えてしまいそうだ。いっそのこと、繋がりなんてなくしてしまえば、いいかもしれない。
:)
寝ている上田に一発蹴りを入れる。ベッドの上で上田は、うごおという変な声を出した。だってあたしをソファーで寝かせるんだから当然の報いなのだ。
上田は静かになってまた寝ようとしていた。なので、あたしは上に乗っかって「早起きは三文の得だよ? おきちゃいなよ」と聞いた。叫び声とともに「朝倉さん、か、軽いですね、げほげほ」と返事をしたので、殴った。失礼なやつだ。
「あのさ、大学に早くから行って勉強するとか、どうなのさ。女の子とかいるかもしれないよ?」
「い、今時そういう女の子はいません。ぼくもそういう女の子がいたら結婚したいです」
ばかだ。人と付き合うこともできないくせに、何を言ってるんだろうと思った。
ふらふらと眼鏡を探している上田。身動きができないようで、オロオロしている。
しょうがないので、あたしは降りてパソコンに向かう。いつものメールチェック。件名が「連絡してください」ばかりで、うんざりする。これ見た後、携帯電話の電源を入れようとしたけど、やめた。たぶん同じだろうし。
:)
今のあたしは繋がりを無くしたつもりだった。でもつい、いつもの習慣でメールチェックをしてしまう。あまりにも、ばかげてる。
もう、うんざり。
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2 : Diary Date : XXXX-XX-01
朝倉さん (1)
いっそのこと宇宙から得体の知れないビームみたいなのが飛んできて、ぼくに命中。おかげさまで野菜が3割引。メーデーメーデーメーデー。
:)
「そんなことばかり書いてるからモテないのよ」
海外から帰ってきたばかりの朝倉さんは、ぼくのパソコンの画面を覗いた後、はっきりとした口調で言った。キツイ一言だけれど、彼女の言葉に間違いはない。いつも本当のことだ。
なのでぼくはいつも苦笑いをするしかなく、ポケットからガムを取り出して「食べますか」としか言えない。話題を変えようと必死になるぼくの力は無力で、返事はいつも「いらない」っていう無言のレス。
彼女は黙って近くの冷蔵庫からビールを取り出して一口ぐびり。そして真剣な顔でぼくに言った。
「いい加減さ、外に出たらどうなの? クーラーが効いてるからといって、部屋にいつまでも閉じこもってちゃ、モテないよ?」
「そ、そうだけどね……」
「たとえばさ、積極的に何かのサークルに参加するとか、買い物をするとか、体鍛えるとかさ、いろいろあるじゃん」
「体を鍛えるんですか」
ぼくはどう考えてもそれがモテることと直接関係あるとは思えず、少しくすりと笑ってしまった。彼女の表情がすこし険しくなる。
「何笑ってんのよ。体を鍛えることって大切よ? 特にあんたの場合、一年中体調が悪いと言ってるんだし。そういうのが、いいわけの材料になってるんだよ。特に上田くんの場合」
まったくそのとおり。
「まったく、いい加減わたしの言ってること信じなさいよ。言うとおりにしたらモテるって」
「わかっているんですけども……」
彼女は大きくため息をついて、一気にビールを飲んだ。そして空き缶を流しに投げる。
「わかってるんなら、しなさい」
:)
そう、彼女の言葉には間違いはないのだ。
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1 : Diary Date : 2006-01-20
村田みい Mii Murata
相子とバスで試験会場に行くあたしはちょっぴり寝不足。昨日夜遅くまで本読んでたのがマズかったなーと思いつつブラックのコーヒーを飲む。ごくり。相子も隣で買いパックの牛乳を、こくりこくりと飲んでいる。
紙パックの口から、そのまま牛乳を飲んでいる相子はすこしだけ、え、エロくて、すごくかわいくて。あー、これがエロかわいいってやつなのかしらと、あたしは考える。
……あれ?



